ORCA Space App Series
地球観測衛星のデータ活用を学ぶ教育アプリ

合成開口レーダー(SAR : Synthetic Aperture Radar)について


合成開口レーダー(SAR)と言われても、あまり馴染みがない言葉で、ピンと来ないかもしれません。テレビなどでよく見る気象観測衛星「ひまわり」の観測データでは、雲はわたしたちが普段見ているように白く写っているので、台風や、低気圧などの雲の様子がとてもよく分かります。その観測方法とは違う方法で地表を観測して、違う種類のデータを取得しているレーダーが合成開口レーダー(SAR)と呼ばれるものです。

地球観測(リモートセンシング)で使われるセンサーには、波長が短い「光」から、波長が長い「電波」まで幅広い「電磁波」が利用されています。目に見える波長が短い光を使った観測の利点は、高解像度の画像を取得することができることです。一方、Lバンドマイクロ波の様に波長が長い電波を用いた観測には雲や雨などを透過することができるという特徴があります。つまり、曇りの天候で空が雲に厚く覆われていても、火山などが噴火して噴煙や水蒸気が上がっていたとしても、地表の様子を観測することができるのです。

合成開口レーダーでは、このマイクロ波(Lバンド)を観測衛星から放射して、地表で跳ね返って衛星に戻ってくる電波を観測して画像を作ります。強い電波が戻ってくれば白く、電波が戻ってこなければ黒い、モノクロの画像が作られます。

観測衛星からは地上に向かって斜め下方向に電波を出します。湖の水面のように平らな面に電波が斜めに入射すると、ほとんどの電波は衛星とは逆の方向に反射してしまい、衛星にはあまり戻って来ません。その為、水面などは黒く表されます。一方、市街地などでは、コンクリートの建物などが多くありますので、強い電波が戻ってきて白っぽい画像が作られます。

では、森林や草地ではどう見えるのでしょうか。
砂地では?

合成開口レーダーの観測データを画像化したSAR画像を解釈するには少し知識と経験が必要です。このアプリでは、SAR画像の読み解き方を手ほどきします。


SAR干渉解析・偏波解析


観測時期をずらして2回以上観測すると、その間に起こった地表面の動き、地盤の変化などを精細に知ることができます。この観測データの解析方法を「SAR干渉解析」と言います。また、電波の向きに応じてデータに色付けをしカラー画像をつくることで地表の様子をより詳しく知る試みもあります。これは「偏波解析」と呼ばれます。このアプリVol.1では、このSAR干渉解析偏波解析についても触れ、電波を使う観測法の優位性について学んでいただけるようにしています。